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フランス文学(16)
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ウィリアム・サローヤンはアルメニア系アメリカ人の作家。子どもの頃「わが名はアラム」を読んで以来、その名は深くわたしの心に刻み込まれていた。「わが名はアラム」はアルメニア系移民の親族について描かれたユーモアたっぷりの素晴らしい物語だった。小学生だった当時のわたしはアルメニアがなんのことだか分からず(国の名前なんだかどうだかさえ知らず)、「移民」という概念すら理解していなかった。たぶんこの作品によってはじめて「移民」という人々の存在をうっすらと知ったように思う。
でもそんな予備知識は何もなくとも、「わが名はアラム」の物語にはめちゃくちゃ感動し、本を読まずに野球ばかりしていた弟にも無理やり読ませ、そして弟もいたく感動してしまっていまだに当時の本を保存している、という経緯もある。これこそ、「物語の力」なのだ。 「ヒューマンコメディ(人間喜劇)」は、カリフォルニアのイサカという町を舞台に、そこでつましく暮らすマコーリー一家とその周辺の人々を描いた物語である。アメリカのあるべき家族の姿を描いているようでもあって、日本でいうと文部省推薦っぽいトーンもちょっとあるかな。 一家の父親は病死してすでにおらず、母親と子どもたちが肩を寄せ合って生きている。のどかな田舎の生活には、それでもあちこちに戦争の暗い影が落ちている。時は第2次大戦の時代。長男のマーカスは出征しており家にはいない。主人公は次男のホーマー。彼は学校に通いながら、自転車に乗って電報を届ける仕事をしている。電報はしばしば、兵士の死を家族に知らせる内容のものだったので、それは14歳の少年には辛い仕事でもあった。 この物語のキーワードをひとつあげるなら、それはたぶん「帰郷」である。なぜ「帰郷」なのかについて語るとタネ明かしになってしまうので、これからこの本を読む人のためにそれは控えよう。そのタネ明かしの部分にこの物語の悲しくもしみじみと暖かい感動(=ヒューマンコメディ)があるのだけれど! 物語にはイサカの町のさまざまな大人や子どもが登場する。食料品店を営むMr. Araがおかしな英語を連発し、今回は唯一の移民代表である。 英語表現もいたって平易なので、ペーパーバック初心者にもおススメの一冊。今度は○○年ぶりに「わが名はアラム」を読もうかな。
by perdida
| 2008-05-17 12:58
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