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フランス文学(16)
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スペイン語では東京をTOKIOとも表記する。最近はTOKYOと書く方が普通だ、とスペイン人は言うけれど、わたしはこの独特の表記が好きだった。若いスペイン人が書いたこの作品にもTOKIOという表記が使われていることが私の目を引いた。購入の決め手となったのは、東京が舞台になっているから、ということもあったけれど、もっと言えばTOKYOではなく、TOKIOだったからだ。この本を見つけたのはバルセロナの大のお気に入り本屋さんラ・セントラル。こんな(?)本が平積みにされているばかりか、受賞までしているなんて、スペインにもとうとうTOKYOブームの波がかなり来ている、ということの証明だ。 わたしがマドリッドに住んでいた頃は、東京(というより大きく括ってむしろ“日本”だったけど)は、車と電化製品の国として一目置かれていたけれど、現在外国人が目を輝かせて語る東京は、今やすっかりファンタジーとポップカルチャーの不思議都市である。 そして、期待に胸膨らませてやって来る彼らが異口同音に口にするのは、Lost in Translation。あの映画が日本の観光業に与えた影響は相当大きいに違いない。 内容はどうあれ、スペイン人の若者が東京で暮らした実録としての価値は大きい、と思って最後まで読んでみることにした。Davidと名前を変えてはいるものの、かなりの部分がノンフィクションに違いない、と思ったからだ。 主人公のDavidはKokoroという日本人女性と暮らしている。遅々として作家活動は進めているものの、生活の糧を得ているのはどうやら幼稚園での英語教師としてらしい。舞台は東京ではなくて、栃木らしいどこかの地方都市。主人公は週に1度、4本もの電車を乗り継いで東京まで通勤する。それが、このタイトルの由来である。 異国人が見る日本の日常生活は、私たちの視点に映ったそれとは微妙に異なっている。第一、やつらはモテる。昔わたしの同僚だったスペイン人J(男、20代)は、お金がないために毎日コンビニでお弁当を買っていたが、飲み物は無料でゲットしていた。コンビニの女の子が売り物のペットボトルのお茶をくれていたからなのだ。 信じられますか?ほとんど言葉も通じないのに、ニコニコしながら差し出してくれたそうである。理由は分からない。ガイジンだから、というほか理由は見当たらない。海外のお客さんへのホスピタリティ、ととれば良いのかもしれないけれど。 すべてがこんな調子なので、彼らの目に映る東京や日本は、かなりゆがんでいる(?)に違いない! 主人公のDavidがそこまでモテたかどうかは詳細に描かれてはいないけれど(最近は日本人もだいぶガイジン慣れして来たので、ここまで甘くはないかもしれない)、彼はあらゆるシーンで妄想する。勤務先の幼稚園の先生に、通勤電車で乗り合わせる女子学生に、スペイン語を教えている美人の主婦に、エトセトラ。 David君の妄想はエスカレートしても、一事が万事ミニマルな作品なので結局何も起こらない。ただひとつ冒頭でいつもいっしょにいたKokoroは後半彼の元を去ってしまう。 スターバックス、ドトール、原宿に渋谷、宇都宮のパルコに宇都宮のオリオン通り(知らないけど)、などなどが実名で出てくるのが楽しい。 現代を生きる外国人の視点で東京の魅力をふんだんに描いた作品としては、サスペンスだけど Mo Hayderの「TOKYO」がかなりおススメ。 ※このブログはトラックバック承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
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