カテゴリ
仏蘭西のかけら 食べる・飲む! 時々ミステリー スペインの本棚 ルポルタージュ 夏の読書 モディアノ中毒 物語を読む 長編小説の喜び 辺境文学びいき 本が好き! ジョルジュ・シムノン 夜の読書 都市の冒険 視覚の快楽 I love ボタニカル 犬は友達! 考えるヒント ヨーロッパは奥が深い モラヴィア・ワールド なんたって名作だもの お見事なイントロダクション タイトルの秀逸(独断による) 買い物日記 私の好きな本屋さん リンク
★デザインリエゾンセンターのサイトに寄稿しています。→コチラ
●「本が好き」元バージョンはこちらにいます。 http://homepage3.nifty.com/callate/index.htm ●日々繰り広げられる献立の冒険「かえるキッチン」もご覧ください。 http://kaerukit.exblog.jp/ タグ
フランス文学(16)
パリ(15) ミステリー(12) 書店(11) スペイン文学(9) 移民(8) もうひとつのアメリカ(7) 少年少女(7) 装丁(7) 東京(7) ルポルタージュ(6) サイエンスフィクション(6) グラフィックノベル(6) コミック(5) バルセロナ(5) 堀江敏幸(5) 犬(4) タイムトラベル(4) 新書(3) 写真集(3) 最新のトラックバック
検索
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
訳者の木村裕美は大学時代の同級生ではじめてスペインに行ったときもいっしょだったし、その後マドリッドに留学したときはしばらくいっしょのピソ(アパート)で生活していた仲である。そして明け方まで湯水のように飲み明かしたワインの本数は数知れない仲である、とまずは大自慢大会。
スペイン発のヒット作はおろか、第一スペイン現代文学が翻訳出版されることすらまれな状況において、その友人がこのようなヒット作品を翻訳していることは友人としても鼻が高いしホマレ高い。 この本はamazonでのランキングもよかったし、かなり早い段階で文庫化された。つまり日本での売れ行きもかなり良いようだけど、スペイン本国でも相当売れ筋のようだ。この夏は本屋に行くたびに気にかけてチェックしていたけれど、たいていは平積み、またはそれ以上のディスプレイをされていた。 さてさて、その内容だけど、これは2つの時代のバルセロナを舞台にしたファンタジックな青春ミステリー。主人公ダニエルは母親を亡くし、古本屋を営む父親とふたりで生活している男の子。 時はスペイン内戦直後。開放的な港町であるはずのバルセロナにも、陰鬱で重苦しい空気が立ち込めている。10歳のダニエルはある日父親に「本の墓場」と呼ばれる場所に連れて行かれる。そこで一冊の本「風の影」と出会ったことからこの冒険ファンタジーが始まる。 もうひとりの主人公はその謎の本の作者であるフリアン・カラックス。彼はダニエルより少し前の時代に同じバルセロナで青春を過ごし、パリに渡ったあと消息を絶った不遇の作家だった。 「風の影」を手にしたダニエルにはその後不可解な出来事が起こり、やがて過去の謎に巻き込まれていく。 ミステリーなのであまり詳細を語ることは控えるけれど、妻を亡くし孤独のうちに生きる物静かなダニエルの父親(わたしはこの人が一番好きだった!)、元ホームレス、その後ダニエルの無二の親友となるフェルミン、美しい盲目の少女クララとその伯父で金持ちのバルセロ、登場するたびにページから悪臭が漂ってきそうな刑事フメロ、などなど登場人物には事欠かず、読後には心優しい気持ちになれる作品なので、今青春を過ごしている人だけでなく、かつて青春を過ごした年配の読者にも向いているかも。
by perdida
| 2006-12-03 23:59
| スペインの本棚
|
ファン申請 |
||