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フランス文学(16)
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タブッキは旅の作家。そして、イタリア人でありながら、イタリアよりポルトガルについてよく書き、そしてポルトガルの詩人フェルナンド・ペレイラを生涯のテーマとしている人。わたしはタブッキといえば昔「インド夜想曲」を読んだだけだったけど、これをきっかけにいろいろ読んでみたい。
本書は「逆さま」をテーマにした短編集と聞いて、ミステリーによくあるあざやかなどんでん返し、またはフリオ・コルタサルのような(またはエッシャーの絵のような)実存的だったり異次元的だったりする展開を想像したけれど、そこはタブッキ、「逆さま」の解釈がかなり違う。 「逆さま」をモチーフとしたこれらの短編小説群は、時代も、しばしば舞台も判然としない。謎めいた符号やとるに足らない出来事が不思議な手さばきでちりばめられ、物語は宙ぶらりんのまま、ふっと終わってしまう。舞台はリスボンだったり、モザンビークだったり、アルゼンチンのどこかだったり、ローマだったり。 例えば巻頭の「逆さまゲーム」。主人公の男性が知り合いの女性の訃報を受け取るところで物語は始まる。その日、たぶんイタリア人である彼は、マドリッドにいて、ベラスケスの「ラス・メニーナス(侍女たち)」を見ていたところだった。 ・・・という風に出だしから「逆さま」のナゾが紛々。知らせを聞いて彼はポルトガルに向かう。イベリアの荒野を国境に向かって進む列車の中で、スペイン人の青年と交わしたかみ合わない会話や、翌日リスボンで出会う、喪に服した女性の夫とのやりとり、フェルナンド・ペレイラ(タブッキの人生のテーマらしい)の発禁本をめぐって、女性が主人公にしかけたらしきゲーム・・・。そして、死んだ女性の残した不思議なメッセージ。物語は鏡から鏡へと読者を誘い入れ、そして終わる。 冒頭に引用されているのはロートレアモン。 「ものごとの、なんのことはない裏側」 Nov_2005
by perdida
| 2005-11-30 23:59
| 辺境文学びいき
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